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碧子とガード

「そろそろ暁霞の時間だね、だけどひと眠りするために急いで帰りたい。また助けてくれる?」


碧子が9歳になった時、父親がガードを連れて帰った。仕事で家を空けることの多い両親が、幼い我が子を守る為に買い与えたのだ。

可愛らしい動物型でもなければ、親しみやすい友達タイプでもない、戦闘用ガードと歩いていると、クラスメイトにはからかわれた。しかし、碧子は絆を深めていった。

碧子が幼い頃から父も母も仕事で帰りが遅く、使用人しかいない家で、ガードは心置きなく話せる相手だった。

子供の頃からずっと、友達と遊ぶ時、ショッピングに行く時、いつも一緒に行動している。

大学に通うため、親元を離れて暮らすときもガードがいることで、両親も安心して碧子を送り出した。

その晩は大学の研究室で集中しすぎて、帰るのが遅くなってしまった。明日は友達の誕生パーティの約束があるのに、まだ買い物も出来ていない。

この街には妖魔が出る。深夜が終わり明け方に差し掛かる前のわずかな時間、街は安全ではなくなる。眠らない街でも、気兼ねなく移動できるためには、ガードが必要だ。

「またやっちゃった…ごめん、リヒトル」

周囲を見渡した碧子はため息をついて、ガードを見上げた。