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地下室の九条

またここに会いにくるよ。あなたの仕事や毎日見るもの、考えることを教えて

アタカ・インダストリー社の定期メンテナンスサービスで異常が見つかり、九条の身体はオーバーホールされた。

再起動が終わると、幼い自分のバージョンが部屋に訪れていた。九条と同じく、このビルにメンテナンスに来ていて、別の部屋を抜け出してやってきたのだろう。63歳のかれの話を聞きたがった。

誰かの子供として振る舞うために作られた9歳の九条バシル。いつか大人になることを夢見たりはしない。

63歳の彼もまた、幼い頃を懐かしむ記憶が本物ではないことを知っていた。

同じモデル同士がオンラインで接触することは制限されている。ふたりは、またここで互いの思い出を補完し合う約束した。